秋のお彼岸について
みなさんこんにちは。9月になると「秋のお彼岸」という言葉を耳にするようになります。お彼岸は春と秋、年に二回訪れる日本ならではの行事で、先祖を敬い、自然を慈しむ心を大切にする期間です。秋のお彼岸は秋分の日を中心に前後三日を合わせた七日間を指します。今年も「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉の通り、厳しい暑さがやわらぎ、過ごしやすい季節へと移り変わる頃にあたります。
お彼岸の習慣といえば、まず思い浮かぶのがお墓参りです。家族そろってお墓を訪れ、掃除をして花や線香を供えることで、ご先祖様への感謝の気持ちを伝えます。普段なかなか行けない人にとっても、この時期は改めて家族のつながりを意識する大切な機会となります。
また、秋のお彼岸には「おはぎ」を食べる習慣もあります。もち米を炊いて丸め、あんこで包んだ素朴なお菓子ですが、ここには深い意味があります。小豆の赤い色には災いを避ける力があると信じられ、古くから供え物として用いられてきました。春のお彼岸には「ぼたもち」と呼ばれますが、基本的には同じものです。呼び名が違うのは、春は牡丹、秋は萩といった季節の花にちなむからといわれています。
近年ではライフスタイルの多様化もあり、必ずしもお墓参りに行けるわけではありません。それでも、仏壇に手を合わせたり、おはぎを用意したりするだけでも心が落ち着くものです。お彼岸は単に形式的な行事ではなく、自分を取り巻く命のつながりに思いを巡らせる大切な時間といえるでしょう。
澄んだ空気の中、彼岸花が咲き始める風景を眺めると、季節の移ろいとともにご先祖様への感謝の気持ちを自然と感じられます。今年の秋のお彼岸も、ほんの少し立ち止まり、日々の忙しさの中で忘れがちな「心の拠り所」を見つめ直す良い機会にしてみてはいかがでしょうか。