かわたれどき・かそたれ —— 境界に宿る日本の言葉

みなさんこんにちは!先日ちょっとしたきっかけで思い出したことがあり、記事にしました。頭の中にある情報をアウトプットすることは、私にはとても難しい取り組みで、普段の生活で行うことが少ないので、改めてやってみると難しいですね。


かわたれどき・かそたれ —— 境界に宿る日本の言葉

◆ かわたれどきとは

「かわたれどき(彼誰時)」は、明け方や夕暮れの薄暗い時間帯 を表す古語です。
語源は「彼は誰(かはたれ)」=「あれは誰だろう?」。
暗がりで人の顔がはっきり見えず、「あれは誰?」と問いかけるような時間を指しました。

◆ かそたれとは

「かそたれ」は、「かわたれ」と同じ意味を持つ言葉で、読みや表記の違いによるバリエーションです。
文献や地域によって「かはたれ」「かそたれ」と表現され、いずれも昼と夜の境界を象徴する言葉です。

◆ 『君の名は。』に描かれた“かわたれどき”

新海誠監督の映画『君の名は。』では、この「かわたれどき」が物語の核心を担う重要なキーワードとして登場します。

物語終盤、糸守町を救うために奔走する瀧と、使命を背負う三葉。
普段は時間も空間も隔たれている二人が、糸守の山頂で一瞬だけ邂逅するのが、まさに“かわたれどき”の時間です。

夕暮れと夜明けの狭間、空が赤紫に染まり、世界が昼とも夜とも言えない境界にあるその瞬間。
現実では決して出会うことのできない二人が、互いの存在を確かめ合い、入れ替わりという不思議な現象の意味を理解する。
映画を観た多くの人が、この幻想的なシーンとともに「かわたれどき」という言葉を心に刻みました。

◆ 日本語に息づく“境界の時間”

  • かわたれどき(彼誰時) … 夜明け前や夕暮れの、人の顔が見分けにくい時間
  • おうまがとき(逢魔時) … 夕暮れ、人ならざる存在に出会うとされた不思議な時間

日本語には、曖昧で移ろいやすい時間を特別に名付け、そこに意味を見出す感性が受け継がれています。

◆ 現代に生きる“かわたれ”の魅力

『君の名は。』で描かれたように、「かわたれどき」は単なる時間ではなく、
人と人がつながる奇跡や、日常と非日常の境界を象徴する言葉として息づいています。

夕暮れや夜明けのわずかなひとときに、「これがかわたれどきか」と思いを馳せると、
日常の風景も少し特別に見えてくるかもしれません。


🌅 たとえ数分しか続かない短い時間でも、「かわたれどき」を意識することで、映画のワンシーンのように、人生のなかに特別な瞬間を見つけられるのです。