今日は何の日?
今日は何の日?―1998年7月4日、「のぞみ」打ち上げの日
1998年7月4日、日本の宇宙開発史にとって特別な一日となりました。
この日、日本初の火星探査機「のぞみ(NOZOMI)」が、鹿児島県の鹿児島宇宙空間観測所(現在の内之浦宇宙空間観測所)から打ち上げられたのです。
「のぞみ」は、宇宙航空研究開発機構(当時は宇宙科学研究所:ISAS)が開発した火星探査機で、日本が本格的に太陽系惑星の探査に乗り出した記念すべきミッションでした。
「のぞみ」は、火星の磁場や大気、太陽風との相互作用などを観測するために設計され、火星周回軌道に投入される予定でした。
小型ながら多くの観測機器を搭載し、その軽量化技術やミッション設計には日本の独自技術が詰まっていました。
しかし、打ち上げ後の軌道変更中にトラブルが発生。
2003年に火星に到達するまでに数度の問題を抱えながらも運用が続けられました。
結果として、火星周回軌道への投入には失敗し、2003年12月、火星への突入を回避しながらミッションを終了。
「のぞみ」は、太陽を中心に永久に飛び続ける人口惑星になりました。
目的は完全には果たせなかったものの、日本の宇宙探査技術にとって大きな挑戦であり、貴重な経験をもたらしたプロジェクトでした。
「のぞみ」は失敗の中にも多くの学びを残し、その後のJAXAによる探査機「はやぶさ」や「ひさき」、「MMX(火星衛星探査計画)」などのミッションへと技術的・経験的な橋渡しをしました。
宇宙探査において、一度の挑戦が次の成功を導く礎となるのです。
今日、7月4日はアメリカ独立記念日でもありますが、日本にとっても“宇宙独立元年”とも言える日。
「のぞみ」に託された夢と挑戦の記憶を、私たちはこれからも忘れてはならないでしょう。